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https://www.7key.jp/nw/wan/lease/framerelay.html#framerelay
フレームリレーは高速でビット誤り率が小さいデジタル回線を使う事を前提としたコネクション型の高速パケット交換システムのことで、それまでのパケット(X.25)交換技術を簡略化して1980年代にITU-Tで標準化されたWANサービスです。X.25パケット通信のプロトコルは、ネットワーク層プロトコルであり、データリンク層プロトコルのHDLCとは分けられています。これに対してフレームリレーのプロトコルはX.25プロトコルの2つの層をプロトコルをまとめたデータリンク層プロトコルとなっています。そもそもこのフレームリレーと言う名前もデータリンク層で扱われる単位であるフレームを高速にリレー(転送)することに由来しているのです。X.25より大きく変わった点と言えば、データリンク層の誤り制御やフロー制御などの手順を簡略化し、エンドツーエンドの伝送時間を短縮したことでしょう。X.25ではHDLCでパケットを受信したノードがビット誤りの有無を調べることとなっていました。もし、ビット誤りが検出されたならばただちにパケットの再送を要求し、ビット誤りの無いパケットのみを次のノードに転送するのです。この方法はアナログ回線等ビット誤り率が比較的大きいリンクを使う際には有効ですが、伝送時間が増えるというデメリットもありました。前述ですが、フレームリレーではこれらの誤り制御などが簡略化されています。即ち、ビット誤りがあるかどうかすら調べず、次のノードにフレームを転送し、ビット誤り対策は必要に応じて上位層プロトコルで実行することとしています。光ファイバなどの伝送手段の信頼性が向上したため、実現したプロトコルと言えるでしょう。
一般にフレームリレーと呼ばれている技術にはフレームリレー【Frame Relaying】とフレームスイッチ【Frame Switching】の2つがあります。フレームリレーはデータ転送時にサービス網内での誤り制御を行いませんが、フレームスイッチは行います。また、フレームスイッチではユーザ/網間でIフレーム送信及びRR/RNR確認を行いますが、フレームリレーではIフレームはエンドツーエンドで転送されるため行われません。このフレームリレーとフレームスイッチを行う中核となるのが、LAPFと呼ばれる手順です。
https://www.7key.jp/nw/wan/lease/framerelay.html#framesps
開始 フラグ |
ヘッダ | ユーザデータ(可変長) | 誤り検出 | 終了 フラグ |
0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 |
DLCI(上位) | CR | EA(0) | ||
DLCI(下位) | FECN | BECN | DE | EA(1) |
DLCI(10) | データリンクコネクション識別子【Data Link Control Identifier】。1本の物理回線上に設定される複数の論理的通信路を識別するために用いられる識別子。 |
CR(1) | コマンドレスポンスビット【Command/Response】。コマンドの場合は"0"、レスポンスの場合は"1"。 |
EA(2) | アドレスフィールド拡張ビット【Extension Address】。このビットに"0"が設定された場合は次のオクテットもアドレスフィールドとして続く。 |
FECN(1) | 順方向明示的輻輳表示【Forward Explicit Congestion Notification】。フレームリレー網において、宛先までの経路(順方向)で輻輳が発生している場合にこのビットを"1"とし、DTEに輻輳を通知する。 |
BECN(1) | 逆方向明示的輻輳表示【Backward Explicit Congestion Notification】。フレームリレー網において、宛先からの経路(逆方向)で輻輳が発生している場合にこのビットを"1"とし、DTEに輻輳を通知する。 |
DE(1) | 廃棄可能表示【Discard Eligible】。フレームリレー網において、輻輳時に破棄することを認めるフレームにビットを設定する。ATMのCLPビットと同様。 |
https://www.7key.jp/nw/wan/lease/framerelay.html#pvcsvc
フレームリレーにもX.25と同様に固定接続と交換接続2種類の利用方法があります。固定接続はフレームリレーサービスを契約するさいにあらかじめどこと接続を行うか決めておく接続方法を言い、PVC【Permanent Virtual Circuit】と呼ばれます。また、交換接続はサービス利用時に相手を選択する接続方法を言い、SVC【Switche Virtual Circuit】と呼ばれます。ただ、日本でサービスとして展開されているのはPVCのみとなっています。
これらの用語で使われています「Virtual Circuit」は和訳しますと「仮想回路」となります。そもそもフレームリレー網と各拠点は物理的には1本の回線で接続されています。X.25パケット交換でも同様ですが、フレームリレーでも論理的なコネクションを設定し、1本の物理回線上に複数の拠点へのデータを多重化することができるのです。ちなみに拠点とフレームリレー網を結ぶ回線のことをアクセスリンク、拠点内のアクセスリンクとの接点となる機器をFRAD【Frame Relay Access Device】と呼びます。
上図の様に設定したコネクションをフレームヘッダ内のDLCI【Data Link Connection Identifier】にて識別します。DLCIは基本が10ビットで拡張可能となっていますが、実際に使われているのは10ビットです。フレーム交換機はこのDLCIを見て目的の拠点へとフレームを転送することとなるのです。
実際ユーザ側で使えるDLCI(論理チャネル数)は16〜991までとなっていて、それ以上のデータリンクには拡張アドレスが必要となります。
ルータがFRADの機能を持っている事が多い。
https://www.7key.jp/nw/wan/lease/framerelay.html#cir
フレームリレーサービスではアクセスリンクの伝送速度をPVCごとに設定することができます。これをCIR【Committed information Rate】と呼びます。これは認定情報速度と訳され、フレームリレー網が正常な状態で稼動しているときに電気通信事業者がユーザに対して保障する実行伝送速度のことを言います。つまり、網の負荷が大きくなり続け、パケットが流れなくなった状態(輻輳状態)になればこのCIRは保障されませんので注意が必要です。ちなみにフレームリレーには「CIR=0」なんてサービスもありますが、CIR値が有効なのはネットワークの状態が正常な場合だけあることを考えますと使用用途によってほとんどの場合実用上の問題は無いと言えるでしょう。
フレームリレープロトコルには輻輳対策のために2つの機能が用意されています。1つ目はフレームの破棄機能です。輻輳状態ではフレームヘッダ部のDEビットが1となっているフレームは優先的に破棄しても良いこととなっています。2つ目はFCENビットとBECNビットによる輻輳状態の通知です。輻輳状態に遭遇したフレームに対してノードがこれらのビットに1を設定します。どちらかのビットに1が入っていることを確認したノードは自主的にフレームの送信を抑制し、輻輳の解消に協力するのです。
軽輻輳(【Mild congestion】。フレームリレー網の中継遅延の増加割合が網の負荷の増加割合よりも大きい段階を指す。)時に、送受信フレーム内のFECN/BECNや、網からの輻輳通知フレーム(CLLM【Consolidated Link Layer Management】)によって対処されます。
重輻輳時(【Severe congestion】。網がフレームの破棄を行う段階を指す)に、網の輻輳状態が回避されるようユーザからも支援します。
https://www.7key.jp/nw/wan/lease/framerelay.html#supplement
フレームリレーには、ISDN網をベースとするFMBS【Frame Mode Bearer Services】とFRDTS【Frame Relay Data Transmission Service】の2つの具体的な伝達サービスがあります。
FMBSでは、フレームリレーはFRBS【Frame Relaying Bearer Service】で規定されフレームスイッチはFSBS【Frame Switching Bearer Service】で規定されています。
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