遷却崇神詞

遷却崇神詞とは

最終更新

2009-04-19T17:03:13+09:00

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遷却崇神詞とは、「たたるかみをうつしやることば」と読み、神道における祝詞のひとつ。道饗祭が災禍の予防を主目的とした祭りであるのに対し、遷却崇神祭は災禍の原因となる神々を祭り、その心を和めて遠方に遷すことを目的とした祭りである。恒例の道饗祭を行ったにも関らず、京の内に災禍や災疫が発生した場合に、臨時的に行われる祭りであり、『延喜式』の恒例・臨時の諸祭の中に「遷却崇神祭」と題する祭りはみられない。この祝詞は、疫病の流行や天災地変などがあった際に、それらの祟りをなす神を京外に遷し退け、京内の平安を期するために臨時で行われる祭りにおいて奏されるものである。

遷却崇神詞

高天之原尓神留坐氐、事始給志神漏伎・神漏美能命以氐、天之高市尓八百萬神等乎、神輯輯給比、神議議給氐、我皇御孫之尊波、豐葦原能水穂之國乎、安國止平氣久所知食止、天之磐座放氐、 天之八重雲乎伊頭之千別支尓千別氐、天降所寄奉志時尓、誰神乎先遣波志、水穂國能荒振神等乎神攘攘平氣武止、神議議給時尓、諸神等皆量申久、天穂日之命乎遣而平氣武止申支、 是以天降遣時尓、此神波返言不申支、次遣志健三熊之命毛、随父事氐返言不申、又遣志天若彦毛、返言不申氐、高津鳥殃尓依氐、立處尓身亡支、是以天津神能御言以氐、更量給氐、経津主命・健雷命二柱神等乎天降給比氐、 荒振神等乎神攘攘給比、神和和給氐、語問志磐根・樹立・草之片葉毛語止氐、皇御孫之尊乎天降所寄奉支、如此久天降所寄奉志四方之國中止、大倭日高見之國乎安國止定奉氐、下津磐根尓宮柱太敷立、高天之原尓千木高知氐、天之御蔭・日之御蔭止仕奉氐、安國止平氣久所知食武皇御孫之尊乃、 天御舎内仁坐須皇神等波、荒備給比健備給事無志氐、高天之原尓始志事乎、神奈我良毛所知食氐、神直日・大直日尓直志給比氐、 自此地波、四方乎見霽山川能清地尓遷出坐氐、吾地止宇須波伎坐世止、進幣帛者、明妙・照妙・和妙・荒妙尓備奉氐、見明物止鏡、翫物止玉、射放物止弓矢、打斷物止太刀、馳出物止御馬、御酒者瓺戸高知、瓺腹滿雙氐、米尓毛穎尓毛、山住物者、 毛乃和物・毛能荒物、大野原尓生物者、甘菜・辛菜、青海原尓住物者、鰭廣物・鰭狭物、奧津海菜・邊津海菜尓至萬氐尓、横山之如久八物尓置所足氐、 奉留宇豆之幣帛乎、皇神等乃御心毛明尓、安幣帛乃足幣帛止平久聞食氐、祟給比健備給事無之氐、山川乃廣久清地尓遷出坐氐、神奈我良鎮坐世止、稱辭竟奉止申、

遷却崇神詞

高天之原（たかまのはら）に神留（かむづま）り坐（ま）して、事始（ことはじ）め給（たま）ひし神漏伎（かむろぎ）・神漏美（かむろみ）の命以（みこともち）て、天之高市（あまのたけち）に八百萬神（やほよろづのかみ）等（たち）を、神輯（かむつど）へ輯（つど）へ給（たま）ひ、 神議（かむはか）り議（はか）り給（たま）ひて、我（わ）が皇御孫之尊（すめみまのみこと）は、豐葦原（とよあしはら）の水穂之國（みづほのくに）を、安國（やすくに）と平（たひら）けく知（しろ）し食（め）せと、 天之磐座（あまのいわくら）放（はな）ちて、天之八重雲（あまのやへぐも）を伊頭（いづ）の千別（ちわ）きに千別（ちわ）きて、天（あま）降（くだ）し寄（よ）さし奉（まつ）りし時（とき）に、 誰（いづれ）の神（かみ）を先（ま）づ遣（つか）はし、水穂國（みづほのくに）の荒振神（あらぶるかみ）等（ども）を神攘（かむはら）へ攘（はら）へ平（む）けむと、神議（かむはか）り議（はか）り給（たま）ひし時（とき）に、 諸神等（もろもろのかみたち）皆（みな）量（はか）り申（まを）さく、天穂日之命（あめのほひのみこと）を遣（つか）はして平（む）けむと申（まを）しき、是（ここ）を以（も）て天降（あまくだ）し遣（つかは）す時（とき）に、 此（こ）の神（かみ）は返言（かへりごと）申（まを）さざりき、次（つぎ）に遣（つかは）しし健三熊之命（たけみくまのみこと）も、父（ちち）の事（こと）に随（したが）ひて返言（かへりごと）申（まを）さず、又遣（またつかは）しし天若彦（あめわかひこ）も、返言（かへりごと）申（まを）さずて、 高津鳥（たかつとり）の殃（わざはひ）に依（よ）りて、立處（たちどころ）に身亡（みう）せにき、是（ここ）を以（も）て天津神（あまつかみ）の御言（みこと）を以（もち）て、更（さら）に量（はか）り給（たま）ひて、 経津主命（ふつぬしのみこと）・健雷命（たけみかづちのみこと）、二柱（ふたはしら）の神（かみ）等（たち）を天降（あまくだ）し給（たま）ひて、荒振神（あらぶるかみ）等（ども）を神攘（かむはら）ひ攘（はら）ひ給（たま）ひ、神和（かむやは）し和（やは）し給（たま）ひて、 語問（ことと）ひし磐根（いはね）・樹立（このたち）・草之片葉（くさのかきは）をも語（こと）止（や）めて、皇御孫之尊（すめみまのみこと）を天降（あまくだ）し寄（よ）さし奉（まつ）りき、如此（か）く天降（あまくだ）し寄（よ）さし奉（まつ）りし四方（よも）の國中（くになか）と、 大倭日高見之國（おほやまとひたかみのくに）を安國（やすくに）と定（さだ）め奉（まつ）りて、下津磐根（したついわね）に宮柱太（みやばしらふと）敷（し）き立（た）て、高天之原（たかまのはら）に千木（ちぎ）高（たか）知（し）りて、 天之（あめの）御蔭（みかげ）・日之（ひの）御蔭（みかげ）と仕（つか）へ奉（まつ）りて、安國（やすくに）と平（たひら）けく知（しろ）し知（め）さむ皇御孫之尊（すめみまのみこと）の、天御舎（あめのみあらか）の内（うち）に坐（ま）す皇神（すめがみ）等（ども）は、 荒（あら）び給（たま）ひ健（たけ）び給（たま）ふ事無（ことな）くして、高天之原（たかまのはら）に始（はじ）めし事（こと）を、神奈我良（かむながら）も知（しろ）し食（め）して、神直日（かむなほび）・大直日（おほなほび）に直（なほ）し給（たま）ひて、 此（こ）の地（ところ）よりは、四方（よも）を見霽（みはる）かす山川（やまかは）の清（きよ）き地（ところ）に遷（うつ）り出（い）で坐（ま）して、吾（あ）が地（ところ）と宇須波伎（うすはき）坐（いま）せと、 進（たてまつ）る幣帛（みてぐら）は、明妙（あかるたへ）・照妙（てるたへ）・和妙（にぎたへ）・荒妙（あらたへ）に備（そな）へ奉（まつ）りて、見（み）明（あきら）むる物（もの）と鏡（かがみ）、翫（もてあそ）ぶ物（もの）と玉（たま）、 射（い）放（はな）つ物（もの）と弓矢（ゆみや）、打斷（うちた）つ物（もの）と太刀（たち）、馳（は）せ出（い）づる物（もの）と御馬（みま）、御酒（みき）は瓺（みか）の戸高（へたか）知（し）り、瓺（みか）の腹滿（はらみ）て雙（なら）べて、 米（よね）にも穎（かひ）にも、山（やま）に住（す）む物（もの）は、毛（け）の和物（にごもの）・毛（け）の荒物（あらもの）、大野原（おほのはら）に生（お）ふる物（もの）は、甘菜（あまな）・辛菜（からな）、 青海原（あをうなばら）に住（す）む物（もの）は、鰭（はた）の廣物（ひろもの）・鰭（はた）の狭物（さもの）、奧津（おきつ）海菜（もは）・邊津（へつ）海菜（もは）に至（いた）るまでに、横山（よこやま）の如（ごと）く八物（やつもの）に置（お）き足（た）らはして、 奉（たてまつ）る宇豆（うづ）の幣帛（みてぐら）を、皇神（すめがみ）等（たち）の御心（みこころ）も明（あきらか）に、安幣帛（やすみてぐら）の足幣帛（たるみてぐら）と平（たひら）けく聞（きこ）し食（め）して、祟（たた）り給（たま）ひ健（たけ）び給（たま）ふ事無（ことな）くして、 山川（やまかは）の廣（ひろ）く清（きよ）き地（ところ）に遷（うつ）り出（い）で坐（ま）して、神奈我良（かむながら）鎮（しづま）り坐（ま）せと、稱辭竟（たたへごとを）へ奉（まつ）らくと申（まを）す、