広告
広告
https://www.7key.jp/data/thought/hotoke/ususama.html#what
烏枢沙摩明王は「うすさまみょうおう」と読み、天台密教では五大明王の一尊とされる。サンスクリットでは「ウッチュシュマ」で、この言葉は古代インド神話における火の神アグニを意味する。アグニは地上の人間と天上の神との仲介者の役割を担い、人間から受けた供物はアグニに燃やされて煙となり、天に届けられると信じられた。その背景から、烏枢沙摩明王は火の力によっていっさいの穢れと悪を焼きつくすとされ、火頭金剛、穢積金剛、不浄金剛とも呼ばれる。また、人間界と仏の世界を隔てる「火生三昧」と呼ばれる炎の世界に住し、人間界の煩悩が仏の世界へ波及しないよう聖なる炎によって煩悩などを焼き尽くす反面、仏の教えを素直に信じない民衆を何としても救わんとする慈悲の怒りを以て人々を目覚めさせようとする明王とされる。息災、増益、調伏、産生などを祈願する「烏枢沙摩法」の本尊であり、捕らえられた魚や鳥を池沼山野に放す「放生会(ほうじょうえ)」でも祀られる。
また、烏枢沙摩明王には不浄を清浄に転じさせる力があるとされることから、トイレに祀られることが多い。古くからトイレは魔物の出入り口と考えられていたため、禅宗に限らず民家や商家などでもトイレに烏枢沙摩明王を祀っていた。この習慣は現在にも伝わっており、「不浄除」の烏枢沙摩明王の新札などが寺院で売られていることもある。また、烏枢沙摩明王を祀っていれば、年をとっても人に下の世話をしてもらわずにすむとも信じられている。
更に、烏枢沙摩明王には胎内にいる女児を男児に変化させる能力があるとも考えられ、平安時代からは「烏枢沙摩明王変生男児法」との修法によって男児の誕生を祈願していた。特に、男児を求めた戦国時代の武将に広く信仰されてきた。
烏枢沙摩明王は、二臂像、四臂像、六臂像、八臂像、一面像、三面像など様々な形で表され、持物も定まっていない。憤怒相で目が赤く、全体が炎に包まれ、髪の毛が火炎の勢いで大きく逆立っているのが数少ない特徴といえる。また、右足を大きく上げて片足で立った姿のことも多い。
広告