歴史的かなづかひについて
始めに
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- 2006-03-04T05:19:00+09:00
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- 現代かなづかひで、言う、買う、食う、問う等、語の末尾が「う」で終る動詞はすべて歴史的かなづかひではハ行で表記する。
- 未然形(〜ない、〜う)はア列に統一する。言はない/言はう、買はない/買はう、食はない/食はう、問はない/問はう等。
- 現代かなづかひで、考える、答える、変える、等、「える」と書く用語のほとんどは「へる」と表記する。ただし、「植ゑる」「飢ゑる」「据ゑる」は例外。また、「や行」一段活用の動詞は「える」と記述する。これは終止形が「ゆ」で終わるもの――覚ゆ、見ゆ、聞ゆ――と覚えれば良い。
- 「ゐる」を用いるのは「〜してゐる」「用ゐる」「率ゐる」の場合のみで、それ以外は「いる」となる。
- 形容詞の終止形は「い」と表記する。「ゐ」や「ひ」は間違い。
- 語中語尾の「わいうえお」は原則として「はひふへほ」になる。詳細は下記。
- 漢字で「様」に当たる「よう」は「やう」と表記する。花のやうに美しい、しやうがない、見やう見真似などがこれに当たる。
- 現代かなづかひで「しょう」(助動詞)は「せう」と表記する。
- 現代かなづかひで「こうして」「そうして」は、歴史的かなづかひでは「かうして」「さうして」と表記する。
- 現代かなづかひで「ありがとう」「おめでとう」は、歴史的かなづかひでは「ありがたう」「おめでたう」と表記する。
- 拗音や促音は小さく表記せず、通常の大きさで表記する。
- 「悔い(る)」「老い(る)」「報い(る)」「消える」「見える」「越える」「聞こえる」は現代かなづかひも歴史的かなづかひも同じ表記となる。
- 先づ、ゆゑ(故)、さへ、さうだ、變へる、買へる。
ワ音の表記
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- 2006-03-04T01:54:00+09:00
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原則
ワ音が語頭にある場合は常に「わ」と書き、語中、語尾にある場合は「は」と書く。
例外
- あわ(泡)
- あわてる(慌)
- いわし(鰯)
- うわる(植)
- かわく(乾)
- くわい(慈姑)
- ことわる(断)
- こわいろ(声色)
- さわぐ(騒)
- しわ(皺)
- しわい
- すわる(座)
- たわいない
- たわむ(撓)
- ひわ(鶸)
- ゆわう(硫黄)
- よわい(弱)
備考
二語からなる単語は勿論「わ」と表記する。うちわ(内輪)、ことわざ、おきわすれ等。
ウ音の表記
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- 2006-03-04T02:43:00+09:00
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原則
ウ音が語頭にある場合は常に「う」と書き、語中、語尾にある場合は「ふ」と書く。
例外
- いもうと(妹)
- おとうと(弟)
- かうがうしい(神)
- かうし(格子)
- かうして
- かうぢ(麹)
- かうばしい(香)
- かうべ(首)
- かうべ(神戸)
- かうもり(蝙蝠)
- かりうど
- こうぢ(小路)
- くろうと(玄)
- …さう
- さうざうしい
- さうして
- しうと(舅)
- しろうと(素)
- たうげ(峠)
- とうさん(父)
- どうぞ
- とうとう
- とうに
- なかうど(仲)
- のうのう
- はうき(箒)
- はうむる(葬)
- まうける(設)
- まうける(儲)
- まうす(申)
- まうでる(詣)
- もう
- やうか(八日)
- やうやう(漸)
- ゆうべ(昨夜)
- ようこそ
- ゆわう(硫黄)
備考
ウ音便による音便変化は「う」と表記する。これは「く」の音が「う」に変わったものである。ありがた(く)う、おめでた(く)う、楽し(く)う、少な(く)う等。
意思・推量の助動詞「う」は「う」と表記する。書かう、行かう、走らう、飲まう等、動詞の未然形につく形と覚えれば良い。
形容詞で「く」活用「しく」活用ともに語尾の「(し)く」に当たるものは「う」と書く。赤う、高う、めでたう、悲しう、苦しう、やさしう等。
動詞で「は行」四段活用の連用形語尾「ひ」に当たるものは「う」と書く。乞うて、問うて、習うて、漂うて、狂うて、向かう等。
二語からなる単語は勿論「う」と表記する。くろうし(黒牛)等。
オ音の表記
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- 2006-03-04T03:01:00+09:00
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原則
オ音が語頭にある場合は主として「お」と書き、語中、語尾にある場合は主として「ほ」と書く。
例外
語頭の「を」
- を(尾)
- を(緒)
- をか(岡)
- をかしい(可笑)
- をかす(犯)
- をがむ(拝)
- をぎ(荻)
- をけ(桶)
- をけら
- をこがましい
- をさ(長)
- をさない(幼)
- をさめる(納)
- をさめる(治)
- をじ(叔父)
- をしどり(鴛)
- をしへる(教)
- をしむ(惜)
- をす(雄)
- をつと(夫)
- をととし
- をととひ
- をとり(囮)
- をどり(踊)
- をとこ(男)
- をとめ(少女)
- をの(斧)
- をののく(戦)
- をば(叔母)
- をはる(終)
- をひ(甥)
- をり(折)
- をり(檻)
- をる(居)
- をる(折)
- をろち(大蛇)
- ををしい(雄)
- をんな(女)
語中語尾の「を」
- あを(青)
- いさを(勲)
- うを(魚)
- かはをそ(川獺)
- かほり(香)
- さを(棹)
- とを(十)
- ばせを(芭蕉)
- みさを(操)
- しをれる(萎)
- まをす(申)
語中語尾の「お」
備考
接頭辞の「を(小)…」も「を」と書く。をがは(小川)等がそれに当たる。
エ音の表記
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- 2006-03-04T03:18:00+09:00
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原則
エ音が語頭にある場合は主として「え」と書き、語中、語尾にある場合は主として「へ」と書く。
例外
語頭の「ゑ」
- ゑ(絵)
- ゑ(餌)
- ゑしやく(会釈)
- ゑしき(会式)
- ゑちご(越後)
- ゑふ(酔)
- ゑむ(笑)
- ゑる(彫)
語中語尾の「ゑ」
- こゑ(声)
- すゑ(末)
- ちゑ(智恵)
- つくゑ(机)
- つゑ(杖)
- ともゑ(巴)
- ゆゑ(故)
- うゑる(植)
- うゑる(餓)
- すゑる(据)
語中語尾の「え」
- あまえる(甘)
- いえる(癒)
- おびえる(怯)
- おぼえる(覚)
- きえる(消)
- きこえる(聞)
- こえる(肥)
- こえる(越)
- こごえる(凍)
- さえる(冴)
- さかえる(栄)
- すえる(饐)
- そびえる(聳)
- たえる(絶)
- つひえる(潰)
- なえる(萎)
- にえる(煮)
- はえる(生)
- はえる(映)
- ひえる(冷)
- ふえる(殖)
- ほえる(吠)
- みえる(見)
- もえる(燃)
- もえる(萌)
- もだえる(悶)
「や行」一段活用の動詞がこれに当たる。終止形が「あまゆ」、「いゆ」、「おびゆ」となるので解り易い。
堪えるは「たへる」であり絶えるとは違うので注意。
- いえ(否)
- さざえ
- ぬえ
- ねえさん(姉)
- ひえ(稗)
- ふえ(笛)
イ音の表記
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- 2006-03-04T03:44:00+09:00
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原則
イ音が語頭にある場合は主として「い」と書き、語中、語尾にある場合は主として「ひ」と書く。
例外
語頭の「ゐ」
- ゐ(い草)
- ゐ(猪)
- ゐたけだか
- ゐど
- ゐなか
- ゐばる
- ゐる
語中語尾の「ゐ」
- あぢさゐ(紫陽花)
- あゐ(藍)
- かもゐ(鴨居)
- くらゐ(位)
- くれなゐ(紅)
- くわゐ(慈姑)
- しきゐ(敷居)
- しばゐ(芝居)
- せゐ(所為)
- つゐ(対)
- まどゐ(団居)
- もとゐ(基)
語中語尾の「い」
- おいて(於)
- おほいに(大)
- かいぞへ(介添)
- かいまみる(垣間見)
- さいなむ
- さいはい(采配)
- さいはひ(幸)
- ぜんまい(薇)
- たいまつ(松明)
- たわいない
- つい
- ついたち(一日)
- ついたて(衝立)
- ついで(序)
- ついて(就)
- ついばむ(啄)
- やいば(刃)
- あいにく
- かはいい
- いいえ
- ぢいさん(爺)
- にいさん(兄)
- はい
- ひいき
- むいか(六日)
- あるいは(或)
ヂ音の表記
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- 2006-03-04T03:52:00+09:00
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「ぢ」を用いる語
- あぢ(味)
- あぢ(鯵)
- あぢけない
- あぢさゐ
- いくぢない
- いぢける
- いぢらしい
- いぢめる
- いぢる
- うぢ(氏)
- おぢる(怖)
- かうぢ(麹)
- かぢ(舵)
- かぢ(梶)
- かぢ(鍛冶)
- くぢら(鯨)
- けぢめ(別)
- こぢる
- しめぢ
- すぢ(筋)
- ぢか(直)
- ぢく(軸)
- ぢぢ(爺)
- ぢみ(地味)
- ぢみち(地道)
- …ぢゃ
- どぢよう
- とぢる(閉)
- なめくぢ
- なんぢ(汝)
- ねぢる(捻)
- はぢる(恥)
- ひぢ(肘)
- ふぢ(藤)
- もぢる(捩)
- もみぢ(紅葉)
- やそぢ(八十歳)
- やぢうま
- よぢる(攀)
- わらぢ(草鞋)
- をぢ(叔父)
ヅ音の表記
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- 2006-03-04T01:58:00+09:00
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「づ」を用いる語
- あづける(預)
- あづき(小豆)
- あづさ(梓)
- あづま(東)
- いかづち(雷)
- いたづら(戯)
- いづみ(泉)
- いづも(出雲)
- いづれ(何)
- いなづま(稲妻)
- うづ(渦)
- うづく(疼)
- うづくまる
- うづめる(埋)
- うづら(鶉)
- うはづる
- おとづれる
- おのづから
- かけづる
- かたづ(固唾)
- かはづ(蛙)
- きづく(築)
- くづ(屑)
- くづれる(崩)
- けづる(削)
- さづける(授)
- さえづる(囀)
- しづか(静)
- たづき(方便)
- たづさわる
- なづな(薺)
- なまづ(鯰)
- はづれる(外)
- はづかしい(恥)
- まづ(先)
- まづい(拙)
- みづ(水)
- みづから(自)
- めづらしい
- もづく(水雲)
- ゆづる(譲)
- よろづ(萬)
- わづか(僅)
- わづらふ(病)
当ページ作成にあたり、参考にさせてもらったリソース
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