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https://www.7key.jp/data/bushido/sei.html#what
「誠」は武士道において至高の徳の1つとされ、侍の心髄ともいえる徳である。誠という字の通り「言ったことを成す」との行動規範そのものを表す言葉であり、それゆえに武士は一度「イエス」と承諾したことを命に代えて実行し、ここから「武士に二言はない」という言葉が生まれてきた。従って武士は、その対極にある嘘つきや不誠実な者を人間として最も卑しき者とし、厳しく嫌った。武士の一言は真実を保証するものであり、古来日本には契約といった概念はなく「口約束」だけで十分事は足りたとされる。武士のする約束は証文なしで行われ、かつ守られた。証文を書くことは面目を損なうことだと考えられたのである。偽りの言に対する何らかの積極的な戒めがない中、嘘をつくことが罪悪として咎められたのではなく、むしろ弱さとして批判され、それが武士にとっては大いに不名誉なことだったのである。「誠」と「名誉」は不可分であり、一体のものである。
また、武士道では慇懃無礼との言葉もあるように、そこに心がなければいかに形があったとしても「礼」とは認めなかった。なぜなら、そこには「誠」がなく、真実性と誠意がない「礼」は道化芝居か見せ物の類に陥るためである。ともすると表層的なものになりがちな礼儀を「虚礼」から救うのが信実と誠実、つまり「誠」である。
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